今回は、株式投資を行うにあたり、長期投資に適した成長企業をどう探せばいいのか、考えてみたい
と思います。
目次
実は簡単!?長期成長企業はここを見よう!
企業は、純利益を上げ、その純利益の中から配当を出し、残った利益を再投資を行うことで成長して
いきます。
利益が残らないと再投資を行うことが出来ず、成長することはできません。
では、その利益をどれぐらい効率的に上げているかという指標は、ROE(株主資本利益率)であらわ
され、次の計算式で求められます。
ROE(株主資本利益率)=税込利益/自己資本=1株あたり利益(EPS)/1株当たり純資産(BPS)
ある企業のROEが年平均10%あったとして、利益から配当金を出さず、利益すべてを再投資に回し、
自己資本に変化がないとすると、理論上その企業は複利で年10%の価値向上が見込めることになり
ます。
複利計算は、金融に明るい方ならお分かりかと思いますが、以下で計算することが出来ます。
ある年の企業価値を1とする。
純利益をすべて再投資する。
自己資本に変化がないとする。
算出期間のROEは、一定と仮定する。
上記条件における、x年後の企業価値yは、
y=(1+ROE)^x
高ROE企業はこんなにも成長する可能性を秘めている!
計算式だけだとイメージがわかないという方のために、以下に高ROE企業がROEを維持した
場合、5年後、10年後、20年後、企業価値が何倍になるかを表にしました。
ROE10% | ROE20% | ROE30% | ROE50% | |
5年後 | 1.61倍 | 2.49倍 | 3.71倍 | 7.59倍 |
10年後 | 2.59倍 | 6.19倍 | 13.79倍 | 57.67倍 |
20年後 | 6.73倍 | 38.34倍 | 190.05倍 | 3325.26倍 |
さすがに、ROE50%を20年維持するのは相当難しいとは思いますが、ROE20%~30%の範囲を10年
程度維持することが可能な企業は存在します。
その場合、5年後には企業価値が3倍、10年後には企業価値が10倍になることが期待できるということ
になります。
直近5年のROEは、日本経済新聞HPの個別銘柄の業績・財務タブで簡単に見ることが出来ます。
※ROE一覧の例:日本経済新聞社HPより
https://www.nikkei.com/nkd/company/kessan/?scode=2412&ba=1
実際に購入するときはPER(株価収益率)も確認しよう
「ROEが持続的に大きい会社の株を買えばいいんだ!!」と思った方、ちょっとお待ちください^^;
ROEが大きい企業の株は、どうしてもPER(株価収益率)が大きくなりがちです。
PER(株価収益率)=株価/1株あたり当期純利益(EPS)
PERが、自分が買った地点と、想定した年月経過後も同じ水準であれば、単純に企業価値の伸びが
そのまま保有株価の上昇につながりますが、自分が買った地点のPERが明らかに高すぎる場合、想定
した年月経過後にPERが下がっていると、その分の価値は目減りしてしまいます。
上記の式から、PERが小さくなるには、
- 株価が下がっている場合。
- 純利益が大きくなっている場合。
純利益(予想)、EPSは、すぐに変化するものではないので、投資判断は、買う時の株価水準が高い
かどうかで決まるということになります。
長期投資に対する戦略まとめ
そこで、長期投資の戦略としては
- 持続的に高ROEを実現している企業を探す。
- 企業の業務内容を確認し、今後数年~十数年後も高ROEを持続できるかを考察する。
- 現在のPERを確認する。
- あまりにもPERが高い場合は購入見送りも検討する。
- 逆に、市況の一時的な悪化や、企業が特損計上など、一時的に株価、PERを下げているときに、
購入を検討する。
以上の長期投資戦略を立てるのがいいと思います。
※個人的な私見を含みます。
※投資に関する判断は自己責任にてお願いします。
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