外貨預金という、預金があります。
「預金」と聞くと、リスクは少なく感じます。
一方、外国為替証拠金取引(FX)という取引商品があります。
こちらは、みなさんのイメージでは、ハイリスクというイメージを持っている方が多いと思います。
今回は、外貨預金と、外国為替証拠金取引(FX)を比較して、お得なのはどちらか、メリットを
どのように享受すればいいかを、考察してみたいと思います。
目次
外貨預金
イオン銀行の外貨預金を参考に、外貨預金を考察していきます。
外貨預金の「手数料」
預入時の円→外貨への交換手数料無料…だけど…
預入時の為替手数料は無料とのことですが、
「※外貨→円への払戻時には当行所定の為替手数料がかかります。」とのことです。
そこで、この為替手数料っていくら?と調べてみたところ、外貨預金 為替手数料が明示されて
いました。
米ドルの外貨預金の場合、
円→米ドル預入(TTSレート) 0円
米ドル→円払出(TTBレート) 0.5円
となっています。
「なんや、たったの50銭かぁ~」と思った方、ちょっと待って!!w
この「50銭」は、1ドル当たり「50銭」かかります。
すなわち、本日の米ドル円レート$1=\106.8で計算すると、この手数料率は、
0.5円/106.8円=0.47%
の手数料がかかるとご理解ください。
外貨預金で10,000ドル払い出すときに必要な手数料は?
例えば、10,000ドル貯まったので、円で払い出そう♪と、払い出した場合、
10,000ドル×106.8円/ドル=1,068,000円
から、手数料5,000円引かれて、
1,068,000円-5,000円=1,063,000円
しかもらえないということになります。
外貨預金の「金利」
外貨預金の金利についても、イオン銀行の外貨預金トップページに明示されていますので、この数値
をもとに考察していきます。
米ドルの普通預金金利が好金利!…らしい
…高金利じゃないのねw
というツッコミは一旦置いておいて、金利一覧を下記にピックアップしました。
外貨 | 外貨普通預金金利(年利) | 外貨定期預金金利 (預入期間1年)(年利) |
米ドル | 0.10% (税引後0.079%) | 0.15% (税引後0.119%) |
オーストラリアドル | 0.01% (税引後0.007%) | 0.03% (税引後0.023%) |
ニュージーランドドル | 0.01% (税引後0.007%) | 0.03% (税引後0.023%) |
まあ、たしかに、円のまま普通の銀行に預けるよりは好金利なのかもしれませんが…といったレベル
です。
複利計算してみる
さきほどの金利表から、一番金利が高い米ドル1年定期に預けた場合の年毎の総額、金利分を以下に
計算してみました。
(条件)預入元本 100万円
金利 米ドル外貨定期預金(1年) 税引後金利0.119%
為替レートは一定と仮定する。
総額 | 金利分 | 資産増加% | |
元本 | 1,000,000 | - | - |
1年後 | 1,001,190 | 1,190 | 0.119% |
2年後 | 1,002,381 | 2,381 | 0.238% |
3年後 | 1,003,574 | 3,574 | 0.357% |
4年後 | 1,004,769 | 4,769 | 0.477% |
5年後 | 1,005,964 | 5,964 | 0.596% |
6年後 | 1,007,161 | 7,161 | 0.716% |
7年後 | 1,008,360 | 8,360 | 0.836% |
8年後 | 1,009,560 | 9,560 | 0.956% |
9年後 | 1,010,761 | 10,761 | 1.076% |
10年後 | 1,011,964 | 11,964 | 1.196% |
4年目のところを赤文字にしましたが、この4年目で、0.477%の資産増加となります。
この数字…、記憶にありませんか??
そうです!!
この0.477%、実は、最初に説明した、外貨→円への交換手数料とほぼ同じなんです!!
これは、何を表しているかというと、
お金を4年預けても全くお金は増えない!!
ということになります。
為替変動によってお金が増えるチャンスはあるが、当然…
外貨預金には、為替変動によって、お金が増えるチャンスはあります。
例えば、預入時、$1=100円で、100万円預け入れたとします。
払出時、$1=120円になっていた場合、預けた100万円は、
120万円(+金利ー手数料)
を受け取ることが出来ます。
「じゃあ、金利に頼らなくても儲けられるじゃん♪」と思った方!もいっかい待って!!w
当然、リワード期待もあれば、リスクもあります。
払出時、円高がめちゃくちゃ進行し、$1=80円になっていた場合、預けた100万円は、
80万円(+金利ー手数料)
と、めっちゃお金が減ってしまいます。
外貨預金、「預金」と名がつくので、リスクはないのでは?もしくは小さいのでは??と思ってしまい
がちですが、外貨預金には為替変動リスクがついて回るということは、理解しておいてください。
外国為替証拠金取引(FX)
では、次に、外国為替証拠金取引(FX)について、さきほどの外貨預金と同じ観点で、検証してみたい
と思います。
FX取引の「手数料」とは?
まず、FX取引の「手数料」について、考察します。
FX取引でも、「手数料」は発生します。
FX取引での「手数料」は、「スプレッド」と呼ばれておりますが、上記で解説した「TTBレート」と
「TTSレート」との差額と同じです。
上記の外貨預金の例では、TTSレートと、TTBレートの間に、「0.5円」のスプレッドがあるという
ことになります。
では、FXの場合のスプレッドはどの程度なのか、確認します。
FXの場合、通貨によりスプレッドは異なりますので、外貨預金のところで登場しました、米ドル/円、
オーストラリアドル/円、ニュージーランドドル/円のスプレッドをピックアップします。
通貨ペア | スプレッド |
アメリカドル/円 ⇒ | 0.3銭 (0.003円) 外貨預金比 1/166 |
オーストラリアドル/円 ⇒ | 0.6~0.7銭 (0.006~0.007円) 外貨預金比 1/71~1/83 |
ニュージーランドドル/円 ⇒ | 1.0銭 (0.01円) 外貨預金比 1/50 |
なお、さきほど紹介した、外貨預金の手数料(スプレッド)は、50銭(0.5円)でした…
なんと!!FX取引手数料、外貨預金との比較で、1/50~1/166と、手数料激安です!!!
FXで10,000ドル払い出すときに必要な手数料は?
外貨預金で計算したのと同様、10,000ドル(アメリカドル)を円で払い出した場合の手数料を計算
します。
$1=¥106.8とすると、スプレッド0.3銭ですので、払戻時は、
¥106.8-¥0.003=¥106.797
で、円に払い戻してもらえます。
よって、10,000ドルを円に交換した時の払戻金額は、
$10,000 × ¥106.793 = ¥1,067,930
となります。
さきほど、外貨預金で同じ条件で計算した払戻金額は、¥1,063,000でした。
なんと!その差4,930円!!
手数料に関しては、外貨預金よりFXのほうが有利であることがわかりました。
FXの「金利」ってどうなの?
次に、FXの「金利」について、考察します。
FX取引でも、金利は発生します。
この金利を、FXでは「スワップ金利」といい、
- 低金利通貨から高金利通貨を買うと、金利を受け取ることが出来ます。
- 高金利通貨から低金利通貨を買うと、金利を支払わなくてはいけません。
FX業者「OANDA Japan」のスワップ金利データを元に、米ドル円を買った場合の299日間
(2020年5月2日~2021年2月28日)のスワップ金利の平均値を出してみました。
平均 8.05円/日 (1万ドル当たり)
1年(365日)の受取金額※ホントは毎日スワップ金利もらえるのですが、ここは単利計算で…は、
8.05円/日×365日=2938.25円 (1万ドル当たり)
$1=¥106.8として、上記を年利換算すると、
2938.25円/(106.8(\/$)×$10,000)=0.275%(税引前)
となりました。※FX業者により、スワップポイントは異なりますので、ご注意ください。
さきほど、外貨預金の金利は、1年預入の定期預金で0.15%(税引前)でした。
よって、金利についても、外貨預金より、FXスワップポイントのほうが有利であることがわかり
ました。
どうして、FXのほうが「リスクが大きい」と思われているのか?
ここまで、外貨預金とFXの、「手数料」「金利」を比較し、圧倒的にFXのほうが有利であるという
結論に至りました。
しかし、一般的に、「FXはリスクが大きい!」「FXはギャンブルだ!」という声をよく聞きます。
なぜ、このような評価になっているのか、下記に考察していきます。
FXはレバレッジを掛けた取引が可能=リスクが大きくなる
FXは、「外国為替証拠金取引」と呼ばれるように、証拠金(実際に預け入れるお金)の、数十倍~
数百倍の取引を行うことが可能です。
※日本の金融庁に金融商品取引業登録を行っている業者は25倍までです。
登録なしの業者を使うと…ですが、無登録業者はオススメできません。
たとえば、100万円持っていて、$1=¥100の時に、米ドルを買うとした場合、外貨預金では、
\1,000,000 / ¥100 = $10,000
と、1万ドルを持つことになります。
一方、FXで、フルレバレッジ(=25倍とします)を掛けて米ドルを買うと、
\1,000,000 × 25倍 = \25,000,000
\25,000,000 / ¥100 = $250,000
と、なんと、25万ドルも持てることになります♪
しかし、為替相場は変動します…
もし、外貨預金で、$1=¥100の時に100万円を米ドルにして預けて、$1=¥80の時に払い戻せば、
預入時 \1,000,000 / ¥100 = $10,000
払出時 $10,000 × \80 = ¥800,000 (金利手数料除く)
となり、20万円の損失となります。
一方、FXでフルレバレッジ取引をしている場合、どうなるでしょうか?
同じく、$1=¥100の時に100万円を米ドルにして預けて、$1=¥80の時に払い戻したとします。
預入時 ¥25,000,000 / ¥100 = $250,000
払出時 $250,000 × \80 = ¥20,000,000
となり、500万円の損失となります!!
※要するに損失も25倍…
※ちなみに、証拠金が100万円しか預けていませんので、普通の市況であれば、規定の証拠金維持率を割った地点で
強制決済されます。
これが、「FXってリスク大きい!」「FXって怖い~」と言われる所以です。
こんな「リスク」があれば、外貨預金に対するFXのメリットを取りにいくの、怖いですね。
リスクは外貨預金並みで、FXのメリットを享受する方法
せっかく、FXのほうが外貨預金よりメリットが大きいのに、リスクが怖くてメリットを享受できない
のはもったいないですよね。
実は、リスクは外貨預金と同程度で、FXのメリットを享受する方法はあります!!
その方法とは…
FXのレバレッジ1倍で外貨を購入する!
これだけです。
FXが危険なのは、「レバレッジ」をかけるからです。
レバレッジをかけるから、少し為替が逆に変動しただけで、証拠金が大きく減らしてしまいます。
もし、レバレッジ1倍で米ドルを買っているとすると、たとえば、アメリカという国が消滅して、
ドルがなんの価値もない状態になって、やっと自分が投資したお金がなくなるという状態になる
だけで、借金を抱えるようなことにはなりません。
また、そのリスクは、外貨預金で米ドルを買っていても、リスクは同等です。
よって、FXで、レバレッジは1倍で運用することで、リスクは外貨預金と同じで、金利、手数料の面
で外貨預金より有利に投資することが可能となります。
まとめ
以上、今回は、外貨預金と、外国為替証拠金取引(FX)を比較し、メリット、デメリットを考察した
上で、FXでの安全な取引について考察してみました。
外貨預金の手数料(=スプレッド)について、少し広いなぁーと思っていましたが、FXと比べると
相当広いですね。
ちなみに、この知識を持ったうえで、機会あれば、空港の外貨両替所のTTSレート、TTBレートを
見てみてください。
きっと、両替したくなくなりますw ※でも、現地通貨持っていないと向こうで大変ですからね…
空港の両替についても、実は日本の空港で両替もしくは、目的地の空港で両替、どちらが有利?と
いうのも、目的地によって差があったりしますが、その話はまた別途…
以上、投資判断の一助になれば幸いです。
※個人的な私見を含みます。
※投資に関する判断は自己責任にてお願いします。
※投資に関する格言集はこちら。
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