株式でも、FXでも、価格は変動します。その変動の経緯が、チャートとして表されています。
株式の場合は、株式を発行している企業の業績が良ければ株価は上昇、逆に、業績が悪ければ株価は下落するということは、イメージもしやすいと思います。
では、為替レートは、なぜ変動するのでしょうか?
今回は、為替レートが変動する要因を考察した上で、個人投資家が立てるべき戦略を考察していきます。
目次
為替レートが変動する要因
為替レートは、通貨ペア2国間のパワーバランスで決まる
執筆当日(2021年3月18日)、アメリカドル円(USDJPY)は1ドル=109円前後で推移しています。
この、1ドル=109円というのは、基本的には、アメリカと日本のパワーバランスで決定し、強いほうの通貨が高くなります。
そして、どちらの国も平穏無事に、同程度の成長をすれば、パワーバランスは変わりませんので、為替レートも安定するはずですが、いずれか、もしくは双方の国でなにかの要因が発生した場合に、為替レートは変動します。
為替が変動する要因
では、具体的に為替変動の要因となるものはなにか?について、以下にピックアップします。
テロ、紛争、戦争などの内政不安
一方の国でテロ、紛争、戦争などの内政不安が生じた場合、為替レートは大きく動く可能性が高くなります。
外国人がこれまで投資していた資金を引き揚げたり、当事国が通過を過大に発行すると、当事国の通貨は下がることになります。
また、当事国が紛争などの対応のために、資金調達が必要となり、外国に投資していた資金を引き揚げるといった場合には、当事国の通貨が上がることになります。
金利の変動
一方の国の金利が上昇した場合、上昇したほうの国に資金を投入する人が増えますので、基本的には、金利が上昇したほうの国の通貨が上昇することとなります。
しかし、金利の上昇は、国内の設備投資や住宅購入などには、マイナスに働きますので、景気が冷え込むことによって、先々はその国の通貨が下落する可能性も秘めています。
景気動向
景気のいい国は、株式上昇、金利上昇の期待が高くなりますので、外国から、株式、債券などへの投資のため、資金が入ってきます。
よって、その国の通貨は買われることになるので、上昇する方向に動きます。
ただし、この景気動向についても、国のGDPが成長していても、成長率が鈍化すると、期待感が薄れ、資金引き上げなどに遭い、通貨が下落する可能性もあります。
中央銀行による市場介入
政府および中央銀行は、自国の産業を守るため、急激な為替変動を避ける方向に市場介入することがあります。
例えば、トヨタ自動車は、円高方向に1円動くだけで、100億円の利益が減るとのことです。
円高に振れたほうがいい企業と、円安に振れたほうがいい企業、双方存在はしますが、不利な方向に急激に為替レートが変動すると、場合によっては国内企業が倒産する事態にもなりかねませんので、急激な為替レートの変動は、国家としてはあまり望ましいことではありません。
そこで、政府および中央銀行は、為替レートを安定させる方向に市場介入を行うことがあります。
(参考)為替介入(外国為替市場介入)とは何ですか?誰が為替介入の実施を決定し、誰が為替介入を行うのですか?(日本銀行HP)
ただし、当然のことですが、「いまから介入しまっせー」という発表があるわけではなく、「介入しましたでー」という発表があるだけですので、個人投資家が事前にわかるものではありません。
要人発言
この、要人発言も、為替レートを動かす要因となります。
上記の市場介入までには至らなくても、日銀総裁やFRB議長、ECB総裁などの要人が、「あんまり行き過ぎたら金利上げちゃうかもよー」などと発言するだけで、市場に思惑が広がり、為替レートが動きます。
この発言も、個人投資家は事前にわかるものではありません。
テクニカル指標による投機筋の動向
上記のさまざまな要因により、為替レートは動くのですが、結局は、その結果がすべて織り込まれて価格が決定しています。
「ダウ理論」でいうところの、「価格はすべての事象を織り込む」に該当します。
(参考)【株式投資】【長期投資】テクニカル分析の基本|「ダウ理論」の「6つの基本法則」と長期投資に対する考え方
その価格決定の裏には、「投資している人」が存在し、儲ければうれしいし、損をすれば悲しいという心理が発生し、その心理によって、行動が変わります。
その行動心理を指標化したもの、移動平均線であったりMACDであったり一目均衡表であったりボリンジャーバンドであったりと、さまざまなテクニカル指標が開発され、またそのテクニカル指標により、人々は行動に移し、その多数派の方向に価格は変動します。
FXで個人投資家が最速で察知できる為替変動要因は何か?
ここまで、為替変動要因について、考察してきました。
では、それぞれの要因について、個人投資家が最速で察知できる情報は何でしょうか?
テロや紛争などが発生するなんてことは、日本で平和に暮らす個人が、誰よりも先んじて情報を入手する事なんてできません。
政策金利なんて、普通の人には決定権はありません。
景気動向も、雰囲気で景気がいい、悪いという肌感はあっても、実際の数値がいくらで、それが為替にどのように影響するかなんてのは、個人にはわかりません。
市場介入も要人発言も、当然個人が事前に情報を入手できるわけがありません。
ここまでピックアップした、いわゆる、「ファンダメンタル」という部分については、為替市場においては、個人投資家が取り扱うには、かなり難易度が高いと言わざるを得ません。
よって、為替市場、FXにおいて、個人投資家が戦えるフィールドは、テクニカル指標から今後の動向を考え、過去チャートの検証結果から、少しでも優位性のある取引を行うしかありません。
ここが、企業は基本的には成長するとの考えで投資する株式投資とは、大きく異なる部分となります。
(参考)【株式投資】【投資商品】実は全然違う!?|株式取引と外国為替証拠金取引、商品先物取引との大きな違い
今後は、この「テクニカル指標」をどのように活用していくべきか、考察していきます。
※個人的な私見を含みます。
※投資に関する判断は自己責任にてお願いします。
※投資に関する格言集はこちら。FXにも通じるところはありますので、ご覧になってください。
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